漆器の買取価格は材質によって変わります。まず、最高級品とされる天然木・本漆塗りの漆器は高価買取が期待できます。そしてさらに有名作家の作品や、伝統証紙が付いているものなら美術品としての価値もプラスされるでしょう。 その中でも特に代表的な輪島塗、日本三大漆器と呼ばれている山中漆器、会津漆器、紀州漆器などは海外でも人気が高いため高価買取が期待できます。 しかし最近では木の粉と樹脂を混ぜて固めた木紛加工品や完全なプラスチック素地のもの、漆以外のカシュー塗料、ウレタン塗料などを塗ったものでも漆器と呼ばれています。 当然ですが合成漆器の場合は一般的な食器と同等ですので価値は付きません。そのため、査定を依頼する際は品質表示をチェックして、品名が「漆器」だけになっているか確認するようにしましょう。(品名が合成漆器と表示されているものは天然の漆ではありません。)
漆器はお椀などの食器類だけでなく、棗(茶道具)や手鏡、飾り皿など様々なアイテムがあります。 また、未使用か使用済みかによっても価格に違いが出てくるので、正確な買取相場というものは存在しません。 ですので、お手持ちの漆器の買取相場を知りたい場合は、複数の買取業者に査定を依頼し、その見積もりから平均を出すのが最も正確な方法と言えます。 漆器は写真からでも傷み具合が判断しやすいので、Web査定で画像を送るだけでも実物と大差ない査定額が出せます。 ヤフオクやメルカリで同じようなアイテムを探しつつ、買取相場を算出することもできますがかなり面倒なうえ、個人の付けた落札価格が絶対に正しいとは限りません。 そのため、おおよその買取相場を知るにはやはり、骨董品や和食器の鑑定士に査定してもらう方法が一番信頼できるでしょう。
漆といえば、他の塗料では表現できない深みと光沢がありますよね。普通の黒色よりもさらに深い黒色のことを漆黒と言いますので、それだけ独特な色合いなのだと思います。 ちなみに漆とは日本をはじめ、中国、韓国などの東アジアや東南アジアに分布している落葉樹なのですが、その中でも日本の漆はウルシオールの含有量が高く、最上質と言われています。 しかし近年は漆掻き職人の減少などにより国内生産量が激減し、今や全体の90%以上は中国からの輸入品となっています。 そんな漆の採取方法は、まず漆の木の幹に傷をつけます。そうすると乳白色の樹液が分泌してくるので、それを採取してろ過した後、樹皮や木屑を取り除きます。 この生漆に熱を加えて精製作業を行うと透明な飴色に変化し、透漆となります。この透漆に顔料を加えて朱などの色を付けたものが色漆、精製の過程で鉄粉を混ぜて酸化させたものがおなじみの黒漆となります。 こうしてできた漆を塗り重ね、金粉や銀粉を蒔いて文様を描いたり、金箔を貼り付けたりしてようやく漆器が完成します。
漆器は使い続けることが一番のお手入れと言われています。食器棚などに長期間保管している方が品質を保てると思われがちですが、漆器は乾燥を嫌うため、乾燥した場所にずっと保管していると逆に劣化してしまいます。 漆器には天然木の高級品も多くあるので、劣化して処分するしかなくなってしまわないよう、不要だと感じたらなるべく早く売るようにしましょう。